なぜ毎年10万件以上も商標出願がされているのか?
Point
①商標出願をする理由はネーミング等をマネされたくないから。
②もう一つの理由は、他社から訴えられたくないから。
③商標出願をする人は安心して事業を続けたいという思いがある。
商標出願をする理由
商標出願は毎年10万件以上されています。
これほどまでに多くの出願件数があるのは何故でしょうか。
その理由は、マネされたくないからです。
例えば、良いネーミングはそれだけで売り上げに大きく貢献することがあります。
そのため、良いネーミングを思いついた場合は、誰でも自分が思いついたネーミングをマネされたくないと考えます。
また、売れている商品があれば、売れている商品名と似たような商品名をつけて販売する会社が現れることもあります。
このような会社は、売れている商品の信用にただ乗りして、少しの努力で多くの利益を得ようと考えています。マネする方には、アイデアはほとんど必要ありませんし、宣伝費用等も抑えて販売することができます。
しかし、マネされる方の被害は甚大です。
自社の売上が落ちるだけではなく、マネした方が粗悪な商品を販売していると、質の高い自社の商品までもが、「こんな粗悪なモノいらないよ」といって信用を落とすことになります。自社の販売している商品名をマネされたくないと考える企業は多くいます。
このように、ほとんどのビジネスにとって、模倣は切っても切れない関係にあります。
模倣を防ぐためには
模倣を防ぐ手段は、基本的に二つしかありません。
隠すか権利を取るかです。
秘伝のタレや工場の中のノウハウなどは隠すことができます。
しかし、商品名はどうでしょうか。お客様に販売する以上、商品名を隠してビジネスを続けることはできません。
商品名、サービス名、会社名、会社のロゴ、サイト名などの商標を模倣から防ぐには、もう一つの手段である権利を取るしかないのです。
これら商標を模倣から守る権利を商標権といいます。
商標権を獲得すれば、同一の商標や、似たような商標を使っている会社に対して、「その商標使うな!」と言うことができます。国家が味方になる非常に強力な権利です。
さらに、この権利の効力は全国に及びます。そのため、北海道から沖縄までの中小企業・大企業関係なく全ての会社・個人に対して権利を主張することができるのです。
商標権を持っていると、その権利を恐れる会社が増えるため、全国的にマネされる確率がグッと下がります。
つまり、商標出願をする理由は、
商標権を獲得し、自社の商品名、サービス名などを模倣から防ぐためです。
商標出願のもう一つの理由
今読んでいただいている方の中には、「別に商品名はマネされても構わないよ」と思われている方もいるかもしれません。
しかし、商標権は自分が手に入れることができるだけでなく、他人も手に入れることができます。この事実は、他人の商標権によって自分が攻撃される可能性があることを意味しています。
そのような脅威から身を守ることが商標出願をするもう一つの理由です。
つまり、訴えられたくないからです。
「マネするつもりはなかった」「商標権の存在を知らなかった」
商標法では、これらの言い訳を許していません。
知らず知らずのうちに、自分が使っている商品名が、他人の権利を侵害して訴えられることがあります。訴訟は、時間・手間・費用・精神を膨大に費やします。負けた場合は、商品名の変更を迫られ、パンフレット、チラシ、パッケージ、ホームページ、店舗・・・膨大な数の変更をすることになります。
他人に訴えられないための最大の防御方法は、自分で権利を取ることです。
商標権を得た場合、出願した商標を使うことについては、基本的に誰からも文句は言われません。そのため、安心してその商標を使うことができるのです。
このように、商標出願をするもう一つの理由は、
商標権を獲得し、他社から訴えられることを防ぐためです。
まとめ
商標出願をする理由は以下の2点です。
・マネされたくないから
・訴えられたくないから
これらをまとめると、安心して事業活動を続けたいからという思いが透けて見えてきます。
マネされたり、訴えられたりすると安心して事業を続けることができません。
お客様と向き合う時間が減少し、利益を1円ももたらさない競合相手に多くの時間を費やさなければいけません。
それらを防ぐためには、商標出願が最も効果的で、手間が少なく、安価です。
商標出願が毎年10万件以上もされているのは、このような理由からです。