CASE1 似ている商標でもあきらめない
今回ご紹介する『あきらめない成功ストーリー』の主役は、
株式会社きらく様です。
お客様について
株式会社きらく様
- 大阪を中心に近畿一円の飲食業界でご活躍
- 主に、とんかつ、お好み焼き、うどん、鶏、ラーメンなど50店舗以上を経営されており、オリジナリティー溢れる商品開発、業態開発、店舗作り、出店戦略が特徴
- 年商は36億円(2012年度実績)従業員数 950名(2013年現在)『100年続く企業を目指す』
ご依頼内容
焼酎に「喜神(きしん)」というブランド名をつけて販売したいとのご相談を受けました。
他社にマネされないように「喜神」について商標権を取りたいというご依頼内容です。
似ている商標が見つかる
商標出願をしても審査を通過しない場合があります。それは、似ている商標が既に登録されている場合です。
商標出願の前に、事前に似ている商標がないかを調査をしました。
調査の結果、「喜神」とよく似た商標の「鬼神」が既に登録されていることがわかりました。
商標が似ているかどうかの判断基準は、見た目(外観)、呼び方(称呼)、意味合い(観念)によって決まります。
「喜神」と「鬼神」は漢字が違うので、見た目(外観)は異なります。
ところが、呼び方(称呼)が「キシン」で全く同一です。
このように呼び方(称呼)が全く同じ場合は、審査を通過させることは非常に難しくなります。
戦略:似ていない商標に変化させる
しかし、「喜神」に関して権利をとりたいと強いご要望を受け、弊所から以下のような提案をさせていただきました。
職人の戦略
「喜神」の隣に「よろこぶかみ」とふり仮名をつける
ふり仮名をつけた狙いは、呼び方(称呼)を「キシン」から「ヨロコブカミ」に変えることです。
それによって、「鬼神(きしん)」「喜神(よろこぶかみ)」は呼び方(称呼)が異なることになり、似ていない商標と判断されるのではと考えました。
似ていない商標と判断されれば、登録の可能性は飛躍的に高まります。
結果は・・・
上記の戦略が実を結び、商標出願から約7ヶ月後、「喜神(よろこぶかみ)」は登録を勝ち取ることができました。
ちなみに、この商標権ですが、第三者が「喜神」を使っていた場合に「使うな!」と言うことができ、「喜神」をマネされたくないとのご依頼の目的を達成することができました。
もう一つの戦略
ふり仮名をつける戦略以外に、実は、もう一つの戦略をご提案させていただいていました。
職人の戦略
商標を「○○喜神」や「喜神○○」に変更する
この狙いは、○○喜神にすることによって、呼び方(称呼)を「鬼神」とは異なるようにするためです。
上記のご提案により、金喜神、赤喜神、白喜神、喜美神のネーミングを考えていただきました。
例えば、「赤喜神(あかきしん)」と「鬼神(きしん)」は、全体で発音したときに「アカキシン」「キシン」と呼び方(称呼)が異なるため、登録できる可能性があると考えました。
※ただし、一部の呼び方が似ていただけでもアウトとなる場合もあります。一部の呼び方で判断するか、全体の呼び方で判断するかはケースバイケースで、個別に検討する必要があります。
弊所の提案を受け、株式会社きらく様から以下のようなFAXをいただきました。
ネーミングのバリエーションも登録
そして、上記戦略により、ご要望のあった商標は全て登録査定となりました。
- 喜神(よろこぶかみ)
- 金喜神
- 赤喜神
- 白喜神
- 喜美神
また、ネーミングのバリエーションの商標権を取得することで、非常に強力な権利の集団を作り上げることに成功しています。
現在の商標の活用
現在は、上記の商標を焼酎につけて販売しています。
商標登録の後、わたくしたちもお店にお邪魔して、美味しく焼酎をいただきました。
苦労して登録できた後の焼酎は最高ですね。
「乾杯~!」
お読みくださいましてありがとうございました。
株式会社きらく様の益々の発展をお祈りします。